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持病や服薬があっても矯正の相談はできます
骨粗鬆症のお薬を飲んでいると矯正を断られてしまうのでは、抜歯で骨や出血のことが気がかり——そう思って相談をためらっていませんか。三重県で50代から矯正を検討する方に向けて、服薬が治療計画に与える影響、抜歯や装置選びで確認したい点、主治医との連携の進め方を整理しました。準備する情報がわかれば、最初の一歩は踏み出しやすくなります。
この記事の要点まとめ
- 骨粗鬆症薬や糖尿病などの持病があっても、矯正相談自体は可能とされています
- 抜歯や装置選びは服薬状況を踏まえ、非抜歯の可能性も含めて検討されます
- お薬手帳の提示や主治医との情報共有が、治療計画を進める土台になります
骨粗鬆症や生活習慣病などの持病・服薬が矯正治療に及ぼす影響

矯正治療では、歯を支える骨が溶けて再びつくられる「骨代謝」の仕組みを利用しながら歯を動かしていきます。そのため、骨や血流に関わる持病・お薬があると、計画の立て方に配慮が必要な場面も出てきます。とはいえ、それは治療そのものができないという意味ではありません4。
骨粗鬆症治療薬(骨吸収抑制薬)と顎の骨・歯の移動の関係
ビスホスホネート系製剤やデノスマブといった骨吸収抑制薬は、骨が過剰に壊れるのを抑え、骨密度の維持をはかるお薬です。全身の骨にとっては有益な働きですが、顎の骨でも骨代謝の回転がゆるやかになるため、矯正による歯の移動が想定よりゆっくりになったり、治療期間が長めに見込まれたりする可能性が指摘されています。
さらに、内服期間が長い方や注射製剤を使っている方では、抜歯などの外科的な処置のあとに顎の骨の治りが遅れる、いわゆる顎骨壊死への配慮が求められます1。発生頻度そのものは高いものではありませんが、リスクを抑えるうえで大切とされるのがお口の中を清潔に保つことです。矯正を始める前に歯周組織を整え、装置を付けている間も定期的なクリーニングを続ける。この積み重ねが土台になります。
糖尿病や高血圧が歯ぐきや血流の健康状態にもたらすリスク
糖尿病と歯周病が互いに影響し合う関係にあることは、広く知られています1。血糖コントロールが十分でない状態(HbA1cの値が高い状態)が続くと、歯ぐきの炎症が悪化しやすく、感染への抵抗力も落ちがちです。矯正装置が入ると清掃しにくい部位も生まれますから、内科での管理状況を踏まえたうえで開始時期を検討していきます。
高血圧や心疾患をお持ちの方の場合は、処置中の緊張や痛みによる血圧変動への配慮が欠かせません。歯科用麻酔薬に含まれる血管収縮薬の種類や量、処置時間の区切り方などをあらかじめ検討し、体調の良い時間帯に予約を組むといった工夫を行います。三重県内で複数の医療機関に通院されている方ほど、情報を一箇所にまとめておくことが心強い備えになります。
矯正に伴う抜歯処置の注意点と体調に合わせた装置選択

歯を並べるスペースが足りないときは、便宜抜歯を検討することがあります。持病がある方にとって、この抜歯こそが気がかりな部分ではないでしょうか。判断の材料を整理しておきましょう4。
抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)服用時の出血リスクへの配慮
ワルファリンやDOAC、抗血小板薬などを服用中の方では、抜歯後の止血に時間がかかることがあります。現在は、多くのケースで服薬を続けたまま局所的な止血処置で対応する考え方がとられています。縫合や止血材の使用、圧迫の指導などを組み合わせて管理していきます。血液検査の数値や内服内容によって対応は変わりますので、事前の情報共有が欠かせません。
抜歯リスクを避ける非抜歯矯正と清掃性を高める装置選び
そもそも抜歯を避けられないかを探ることも、大切な選択肢のひとつ。歯列の幅や歯の傾き、噛み合わせの状態によっては、非抜歯でのアプローチを計画できる場合があります。当院では小児矯正において口腔筋機能療法(MFT)も取り入れ、できる限り歯を抜かない方針で治療計画を立てています。成人の方についても同じ姿勢で、患者様のご意向をできる限り反映した提案を心がけています。
装置選びも体調と無関係ではありません。取り外しができるマウスピース型装置は歯磨きの際に外せるため清掃性を保ちやすく、金属の使用が限られることから、金属アレルギーが気になる方の相談先にもなります。当院では2種類のマウスピース型矯正装置をご用意しています。
自己判断による服薬中断の注意点と主治医への確認事項
「歯科治療の前だから薬を止めておこう」という自己判断は控えてください。抗凝固薬を急に中断すれば血栓のリスクが高まりますし、骨粗鬆症薬の中断も骨の状態に影響します。休薬するかどうかは、処方元の医師が全身状態を踏まえて判断する事柄です。歯科側から必要性を伝え、医科の判断を仰ぐ。この順序を守ることが、体への負担を抑えることにつながります。
医科歯科連携で治療を進める手順と初診時の準備ポイント
持病のある方の矯正治療は、歯科医院だけで完結するものではありません。内科や整形外科の主治医と情報を行き来させながら進めていきます4。
お薬手帳の提示とカウンセリングで漏れなく伝えるべき健康情報
初診相談の際は、お薬手帳を必ずご持参ください。薬剤名・用量・服用開始時期がひと目でわかる資料は、歯科医師にとって何よりの手がかりになります。市販薬やサプリメント、注射で投与されているお薬(半年に一度の注射など、手帳に記載が漏れやすいもの)についても、覚えている範囲でお伝えいただけると助かります。
あわせて共有していただきたいのが、治療中の疾患名と通院先、直近の検査数値、過去の手術歴や麻酔でのトラブル経験、金属アレルギーやアトピー、喘息の有無など。慢性腎臓病や膠原病で免疫抑制剤を使用している方も、ぜひお申し出ください。こうした情報は診療上の守秘義務のもとで扱われますので、遠慮なくお話しいただいて差し支えありません。
当院は「歯科医師の立場で考える治療が、患者様のご希望に添わないことは少なくない」という考えのもと、無理に治療を押しつけず、患者様自身が納得できる選択を大切にしています。緊張して本音を伝えづらいという方にも話しやすい雰囲気づくりを心がけていますので、気になることは何なりとお聞かせください。
主治医への対診(診療情報提供書)の流れと治療計画の策定
服薬内容や全身状態の確認が必要と判断した場合には、歯科医師から主治医宛に診療情報提供書(対診)を作成します。「どのような処置を、いつ頃予定しているか」を具体的に記載し、休薬の要否や処置時の注意点についてご回答をいただく流れです。返答までには一定の日数がかかりますので、精密検査と並行して早めに動きます。
当院では歯科用CTやセファロ、口腔内スキャナーによる精密検査のデータをもとに治療計画を組み立て、デジタル画像をご覧いただきながら説明を行います。全身状態の安定が確認できてから装置装着へ進む。この手順こそが、三重県にお住まいで持病を抱える方が長く通い続けるための土台になると考えています2。
よくある質問
Q1. 骨粗鬆症の薬を飲んでいると、矯正治療を断られてしまいますか?
A. 服薬しているという理由だけで一律にお断りすることはありません。お薬の種類や投与期間、投与経路(内服か注射か)、抜歯を伴うかどうかによって配慮の内容が変わります。主治医への確認を経たうえで、進め方を一緒に考えていきます。
Q2. 矯正治療中に控えたほうがよいことはありますか?
A. 装置に負担がかかる硬い食品や、粘着性の強い食品には注意が必要です。マウスピース型装置の場合は、指示された装着時間を守ること、色のついた飲み物を装着したまま飲まないことがポイント。喫煙は歯ぐきの血流や治癒に影響するため、控えることをおすすめしています。
Q3. 歯科治療で特に注意が必要なお薬にはどんなものがありますか?
A. 骨吸収抑制薬(ビスホスホネート製剤など)、抗凝固薬・抗血小板薬、ステロイドや免疫抑制剤、糖尿病治療薬などが挙げられます。いずれも自己判断での中断は避け、お薬手帳を提示して歯科医師に共有してください。
Q4. 抜歯を避けて矯正することはできますか?
A. 歯列の状態によっては、非抜歯でのアプローチを計画できる場合があります。ただしすべての方に当てはまるわけではなく、精密検査の結果と噛み合わせの状態を踏まえた判断が必要です。ご希望はカウンセリングでお伝えください。
Q5. 主治医への確認には、どのくらい時間がかかりますか?
A. 医療機関によって異なりますが、診療情報提供書の返答までに数日から2週間程度かかることがあります。精密検査の期間と並行して進めるため、全体のスケジュールが大きく延びることは多くありません。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
4. 公益社団法人 日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/
鹿児島県生まれ
1999年3月
鹿児島県立鶴丸高等学校 卒業
2000年4月
鹿児島大学歯学部 入学
2006年3月
鹿児島大学歯学部 卒業
2006年4月~
2007年3月
鹿児島大学歯学部附属病院 臨床研修
2007年4月~
三重県内の法人内医院 勤務
2012年~2014年
滋賀県内の法人内医院 勤務 副院長
2015年~2016年
滋賀県内の法人内医院 勤務 院長
2017年~2018年
京都府内の法人内医院 勤務 院長
日本歯科医師会
三重県歯科医師会
津市歯科医師会
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