子どものぽかん口は歯並びに影響する?原因と自宅でできる予防策|こはな歯科|津市垂水の歯医者

〒514-0821
三重県津市垂水2867-6

駐車場15台有

南が丘駅より
徒歩4分

ブログ BLOG

子どものぽかん口は歯並びに影響する?原因と自宅でできる予防策

子どものぽかん口は歯並びに影響する?原因と自宅でできる予防策

テレビを見ているとき、お口がポカンと開いていませんか


お子様の口元がいつも開いたままだと、歯並びや顎の発達への影響が気になるものです。ぽかん口は「口唇閉鎖不全症」とも呼ばれ、背景を知って早めに向き合うことが大切と考えられています。この記事では、歯列との関わりや主な原因、ご家庭で取り組める工夫、歯科医院へ相談する目安を整理してお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • ぽかん口は舌や口周りの筋肉バランスと関わり、歯並びや顎の発達に影響する場合があると考えられています
  • 筋力不足や鼻づまりなど原因は複数あり、あいうべ体操など自宅での取り組みも紹介しています
  • 食べこぼしやいびきなどが続く際は、歯科医院での相談が目安のひとつになります

子どものぽかん口が歯並びや歯の発達に及ぼす影響


お口が常に開いた状態を、歯科では「口唇閉鎖不全症」と呼びます。単なる癖のように見えても、成長期の歯列や顎の発達には少なからず関わってくると考えられています3


口呼吸と低位舌が出っ歯や噛み合わせの不調和を招く仕組み


本来、お口を閉じているとき、舌は上顎の天井部分にそっと触れています。この舌の力が、内側から上顎の骨を押し広げる自然な刺激になるわけです。ところが口が開いていると舌は下がった位置(低位舌)にとどまりやすく、上顎への刺激が届きにくくなると考えられています。


くわえて口を閉じる筋肉が働かないと、前歯を外側から押さえる力も弱まります。内から押す力と外から支える力、このバランスが崩れることが、上顎前突(出っ歯)や前歯が噛み合わない開咬といった状態に関わる要因のひとつとして指摘されています。舌で前歯を押す舌癖が重なると、その傾向はさらに強まりやすいともいわれます。


つまり、ぽかん口で着目したいのは歯そのものではなく、歯を取り巻く筋肉と舌のバランスなのです。


歯並びだけではない?口腔内の乾燥とむし歯・発育へのリスク


口が開いていると、お口の中は乾きやすくなります。唾液には歯の表面を洗い流し、酸を中和し、再石灰化を助ける働きがあり、この環境が損なわれるとむし歯のリスクが高まりやすいと考えられています4。前歯の表面だけ乾いて汚れが残りやすい、といった状態が見られることもあります。


また鼻には、空気を温めて加湿し、ほこりを取り除く働きがあります。口呼吸ではこの過程が省かれるため、喉への負担や口臭が気になる場合も1。就寝中に口が開いていると睡眠の質に関わることがあり、日中の集中力との関連が話題になることもあります。


口元の筋肉の使い方は、顔まわりの成長にも関わってきます。口を開けた姿勢が続くと下顎が下がりやすく、いわゆるアデノイド顔貌と呼ばれる特徴が見られる場合もあります。歯並びだけを切り取るのではなく、姿勢や呼吸を含めて捉える視点が求められます。


なぜ口が開く?子どものぽかん口を引き起こす原因とよくある誤解

なぜ口が開く?子どものぽかん口を引き起こす原因とよくある誤解

ぽかん口の背景は、ひとつではありません。筋肉、鼻の状態、生活習慣が絡み合っているため、原因を切り分けて考えることが第一歩になります3


口輪筋の筋力不足・舌癖とアレルギー性鼻炎などの身体的要因


まず挙げられるのが、唇の周りをぐるりと囲む口輪筋の力不足です。やわらかい食事が中心で噛む回数が少ない、しっかり飲み込む動きが育っていない、そんな場合は唇を閉じ続ける持久力がつきにくくなります。


次に、鼻の通りにくさ。アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまり、扁桃やアデノイドの肥大があると、鼻で呼吸したくてもできず、やむを得ず口が開くことがあります。この場合は歯科的なトレーニングだけでは対応が難しいため、耳鼻咽喉科での確認が望まれます2


さらに指しゃぶりの長期化、頬杖、うつ伏せ寝、猫背といった姿勢の癖も関わります。当院の予防に関する情報発信でも姿勢と歯並びの関係を取り上げていますが、これは身体全体のバランスが口元の使い方に反映されると考えられるためです。


よくある誤解:「癖だから自然に治る」と放置するリスク


「大きくなれば自然に閉じるようになる」と受け止められがちですが、必ずそうなるとは言い切れません。ぽかん口の状態が続くほど、その筋肉の使い方が習慣として定着しやすくなるといわれます。


お子様の顎の骨は成長の途中にあり、この時期の使い方が骨格の形づくりに関わります。習慣が長く続いた場合、後から歯を動かす処置を検討することになったり、整えた歯並びが元に戻りやすくなる可能性も考えられます。院長も「歯並びは結果であり、その原因から向き合うことが大切」という考え方を重視しています。


大切なのは急いで治療を始めることではなく、まず現在の状態を客観的に把握しておくことです。 経過を見て差し支えない場合もありますし、そう判断できるだけでも親御様の気持ちは軽くなるはずです。なお、親御様の関わり方が原因と決まるわけではありません。体質や鼻の状態など、ご家庭の努力とは別の要因も多く関わっています。


自宅でできる予防トレーニングと歯科医院へ相談すべき判断基準


ここからは、ご家庭でできる工夫と、専門的な確認が望ましい場面を整理していきます。


親子で実践しやすいお口周りの筋肉トレーニング方法


代表的なものがあいうべ体操。「あー」「いー」「うー」と大きく口を動かし、最後に「べー」と舌を下に伸ばします。1セット10回程度を1日2〜3回、鏡の前で親子一緒に行うと続けやすくなります。


そのほか、次のような遊び感覚の取り組みも取り入れやすいでしょう。


  • 唇で挟む練習:スプーンの柄などを唇だけで数秒キープする
  • 舌の位置づけ:上顎の天井に舌先を軽く当て、10秒静止する
  • 吹く遊び:シャボン玉や吹き戻しで息のコントロールを養う
  • よく噛む食事:歯ごたえのある食材を一品加える

ポイントは回数よりも継続です。歯磨きの後やお風呂上がりなど時間を決め、できた日をカレンダーに記録すると、お子様の意欲も保ちやすくなります。離乳食期からスプーンで唇を使わせる、コップ飲みへ移行するといった配慮も、口元の機能を育てる土台になると考えられています1


歯科医院での精密検査や機能訓練を検討するサイン


次のような様子が続く場合は、一度ご相談いただく目安になります。


  • 食事中の食べこぼしや、飲み込みの音が気になる
  • 発音が不明瞭で、サ行・タ行が聞き取りにくい
  • 就寝中のいびきや口の乾き
  • 前歯が噛み合っていない、上下のズレを感じる
  • 鼻づまりが季節に関係なく続いている

こうした状態は「口腔機能発達不全症」という診断名で保険診療の対象となる場合があります。適用の判断は年齢や項目ごとの基準によりますので、診察時にご確認ください23


当院では歯科用CT、矯正歯科用のセファロ、口腔内スキャナーなどを用いた検査を行い、デジタルデータをもとに分かりやすくご説明することを心がけています。また口腔筋機能療法(MFT)を治療計画に組み込み、できる限り歯を抜かない方針での計画立案を検討しています。口育士も在籍しており、5歳頃からのご相談にも対応しています。気になった時点で状態を知っておくこと自体が、選べる方法の幅を広げます。


よくある質問


Q. 口ポカンは歯並びに影響しますか?

A. 口を閉じる筋肉と舌の位置のバランスが崩れることで、歯列や顎の成長に関わる要因のひとつと考えられています。ただし影響の程度には個人差があり、必ず歯並びが乱れると決まっているわけではありません。実際の状態は診察で確認する必要があります。


Q. 口呼吸は歯並びに影響しますか?

A. 口呼吸が続くと舌が下がった位置に留まりやすく、上顎への刺激が減る可能性が指摘されています。加えてお口の乾燥がむし歯のリスクにも関わるため、歯並び以外の面も含めて確認しておくとよいでしょう。


Q. ポカン口は何歳から注意したほうがいいですか?

A. 一般には3〜4歳頃から唇を閉じる力が育ってくるとされ、5歳前後で常に開いている場合は一度ご相談いただく目安になります。当院では乳歯と永久歯が混在し始める時期のご相談にも対応しています。


Q. 歯列矯正を慎重に検討したほうがよい場合はありますか?

A. むし歯や歯ぐきの炎症がある場合、装置の使用時間を守るのが難しい場合などは、先に環境を整えてから進める判断をすることがあります。お子様の性格や生活状況も踏まえ、カウンセリングで一緒に検討していきます。


Q. 自宅のトレーニングだけで変化は期待できますか?

A. お口周りの筋肉を使う習慣づけには意義があると考えられますが、鼻づまりなど身体的な要因がある場合は耳鼻咽喉科での確認が必要になることもあります。数か月続けても様子が変わらないときは、原因の切り分けのためご相談ください。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省(政策・健康情報の入口) https://www.mhlw.go.jp/

3. 日本小児歯科学会 https://www.jspd.gr.jp/

4. 日本齲蝕学会 https://www.jacd.jp/


田中 祐介

歯科医師


こはな歯科

院長

田中 祐介

▶ 監修者プロフィール

経歴
1980年7月11日
鹿児島県生まれ
1999年3月
鹿児島県立鶴丸高等学校 卒業
2000年4月
鹿児島大学歯学部 入学
2006年3月
鹿児島大学歯学部 卒業
2006年4月~
2007年3月
鹿児島大学歯学部附属病院 臨床研修
2007年4月~
三重県内の法人内医院 勤務
2012年~2014年
滋賀県内の法人内医院 勤務 副院長
2015年~2016年
滋賀県内の法人内医院 勤務 院長
2017年~2018年
京都府内の法人内医院 勤務 院長
資格・所属学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科医師会
三重県歯科医師会
津市歯科医師会