顎のカクカク音は歯並びが原因?噛み合わせとの関係とセルフケア|こはな歯科|津市垂水の歯医者

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顎のカクカク音は歯並びが原因?噛み合わせとの関係とセルフケア

顎のカクカク音は歯並びが原因?噛み合わせとの関係とセルフケア

目次

食事や会話中の「カクッ」という音、気になり始めたら


口を開けるたび、顎で小さな音が鳴る。長時間のパソコン作業のあと、顎が重く感じる——三重県内でお仕事をされている方からも、こうしたご相談が寄せられます。顎の音は歯並びや噛み合わせだけでなく、日中の食いしばりや姿勢など複数の要因が重なって起こると考えられています。 仕組みの整理から、仕事中に取り入れやすいセルフケア、歯科医院へ相談を検討する目安までをまとめました。


この記事の要点まとめ


  • 顎のカクカク音は歯並びだけでなく、食いしばりや姿勢など複数要因が重なって起こると考えられます
  • 歯を離す意識や姿勢の見直し、咀嚼筋のセルフマッサージが負担軽減の一助になります
  • 開きにくさや痛みが続く場合は、経過観察よりも歯科医院への相談が目安となります

顎のカクカク音(クリック音)が起こる仕組みと歯並び・噛み合わせの関係


顎関節の構造と口の開閉時にカクカク音が鳴るメカニズム


顎の関節は、下顎の骨の先端と頭の骨のくぼみが向き合う構造。その間には「関節円板」というクッションがはさまっています。口を開け閉めするとき、この円板は下顎の動きに合わせてなめらかにスライドしていきます。


ところが円板の位置が前方などへずれると、動き出しや戻る瞬間に引っかかりが生じ、「カクッ」という音(クリック音)として感じられると考えられています。音そのものが必ず病気を意味するとは限りません。ただ、円板と骨の動きが同調しにくくなっているサインとして受け止めておくとよいでしょう1


噛み合わせや歯並びの乱れが顎関節に偏った負荷を与える理由


上下の歯は本来、複数の歯で力を分散させながら接触します。歯並びに凹凸があったり、特定の歯だけが先に強く当たったりすると、下顎の位置が無理な方向へ誘導される場合があります。


すると咀嚼筋の左右バランスが崩れ、片側の顎関節へ負担が集まりやすくなるとされています。とくに前歯の噛み合わせは下顎の前後運動をガイドする役割を担うため、ここが噛み合いにくい状態だと奥歯や関節に力が集中しやすいと指摘されています。とはいえ歯並びだけが原因と決めつけられるものではありません。ストレスや生活習慣も絡み合う多因子性の不調として考えるのが一般的です2


デスクワーク中の無意識な食いしばりや姿勢が及ぼす影響


本来、安静時の上下の歯はわずかに離れています。ところが集中して画面を見ているとき、車の運転中、緊張しているときなどは、無意識に歯を接触させ続ける癖(TCH=歯列接触癖)が起こりやすくなります。


弱い力でも長時間続けば咀嚼筋は疲労し、顎関節への圧も高まりやすくなります。加えて猫背や前のめり姿勢では頭の重心が前方へ移り、首から顎周囲の筋にかかる負担が増えていきます。つまり顎の不調は、歯並びという構造面と、日中の癖・姿勢という機能面の両輪で見ていくことが大切です。


【よくある誤解】顎関節症と歯並びに関する勘違いと放置するリスク

【よくある誤解】顎関節症と歯並びに関する勘違いと放置するリスク

誤解1:歯列矯正を行えばあらゆる顎関節症の症状が消失するわけではない


「歯並びを整えれば顎の音も消える」と期待して来院される方は少なくありません。たしかに歯列矯正で噛み合わせのバランスが変わり、顎への力のかかり方が整理されていくケースもあります。


ただ、顎関節症の背景には筋の緊張、ストレス、睡眠時の歯ぎしり、外傷などが複雑に関与するとされています。矯正治療は原因の一部にアプローチする手段のひとつという位置づけとお考えください。矯正治療中は装置に慣れる過程で、一時的に顎周囲の違和感を覚える方もいます。方針に迷うときはセカンドオピニオンを含め、複数の説明を聞いてから判断する姿勢が役立ちます1


誤解2:痛みがないカクカク音ならそのまま放置しても問題ない


痛みがなく音だけの状態なら、経過観察で様子を見る場合もあります。一方で、負担が続くうちに口を大きく開けにくくなったり、咀嚼筋の緊張から頭痛や耳の詰まった感じ、耳鳴りのような不快感を自覚したりする方もいます。


こうした二次的な症状は、日常の集中力や食事の楽しみにも影響しかねません。音の頻度が増えている、以前より開きにくい——そんな変化があれば、様子を見続けるより確認を推奨します。


前歯の噛み合わせ不全や過去の被せ物の高さが与える影響


過去に受けた被せ物の高さがわずかに合っていない場合、そこを避けるように噛む癖がつき、左右差が生まれることがあります。数十マイクロメートル単位の差でも、毎日の咀嚼で積み重なれば顎の動きに影響する可能性があります。


前歯が噛み合いにくい開咬傾向の方では、奥歯や関節に力が集まりやすい点も知られています。気になる被せ物の違和感は、時間が経ってからでもご相談いただいて構いません。


仕事中や自宅で実践できる顎の負担を和らげるセルフケアと予防習慣


日中の食いしばりを防ぐ「歯の離し意識」と姿勢の見直し


まず取り組みやすいのが、上下の歯を離す意識づけ。パソコンのモニター横やスマートフォンの待ち受けに「歯を離す」とメモを置き、目に入るたび息を吐いて奥歯を軽く開放します。1回数秒でも、回数を重ねることが咀嚼筋の休息につながると考えられています。


姿勢面では、椅子に深く座り、画面の上端を目線とほぼ同じ高さに調整すると頭が前に出にくくなります。車通勤の方なら、信号待ちのタイミングを合図に肩を下げて顎の力を抜く習慣を取り入れてみてください2


咀嚼筋の緊張をやわらげるセルフマッサージとストレッチ手順


頬骨の下からえらの手前にある咬筋、こめかみの側頭筋を、指の腹で円を描くようにやさしくほぐします。強く押し込む必要はありません。心地よい範囲で20〜30秒ずつが目安です。


その後、口をゆっくり開けて数秒キープし、痛みが出ない範囲でとどめます。入浴後など体が温まっているときのほうが、筋はゆるみやすくなります。痛みが増す動きは中止し、無理に大きく開けないよう注意が必要です。


頬杖・うつ伏せ寝・片側咀嚼など顎に偏った負荷をかける悪癖の改善策


  • 頬杖:デスクの高さや肘置きを見直し、手を顎から離す配置に変える
  • うつ伏せ寝:枕の高さを調整し、横向きや仰向けで眠れる環境をつくる
  • 片側咀嚼:食事の前半と後半で噛む側を意識的に入れ替える

どれも「気づいて戻す」の積み重ねです。片側ばかりで噛む癖は筋の左右差につながることがあるため、鏡でご自身の噛み方を観察してみるのもおすすめです。


セルフケアで経過観察すべきか歯科医院へ相談すべきかの判断基準


医療機関への相談を検討すべき症状チェックリスト


次の項目が当てはまる場合は、自己判断で様子を見続けるより、一度ご相談されることをおすすめします。


  • 指を縦にして3本入らないほど口が開きにくい
  • 開閉時に痛みがあり、食事の途中で顎が疲れて休みたくなる
  • 音の頻度や大きさが以前より増している
  • 朝起きたときに顎や側頭部の重さ、頭痛を感じる日が続く
  • 特定の歯だけ強く当たる感覚や、被せ物の違和感が残っている

痛みで食事内容が制限されている状態は、早めの確認が望ましい目安です1


歯科医院で行う構造的検査(歯科用CTやセファロ等の導入設備)と診断の流れ


問診で癖や生活背景をうかがったうえで、開口量の計測、筋の触診、噛み合わせの接触状態の確認を行います。骨や関節の立体的な形態把握には歯科用CT、骨格の前後・上下関係の評価にはセファロ(頭部X線規格写真)が用いられます。


当院では、歯科用CT、矯正治療用のセファロ、歯型をデジタルデータとして採取できる口腔内スキャナーを導入しています。当院の特徴として、デジタルデータをもとに画面でお見せしながら説明することを大切にしており、ご自身の噛み合わせの状態を目で確認しながら理解を深めていただけます2


スプリント療法(マウスピース)や噛み合わせ調整など主な治療アプローチ


一般的には、まず保存療法から検討します。就寝時に装着するスプリント(マウスピース)で歯ぎしりや食いしばりの力を分散させ、あわせてセルフケア指導や生活習慣の見直しを行う流れです。スプリントや検査は状態により保険が適用される場合があり、歯列矯正は自由診療となります。


必要に応じて被せ物の高さを整える調整を行い、歯並びに起因する要素が大きいと判断された場合は矯正治療のご相談へ進みます。外科的治療が検討されるのは限られたケースで、その際は歯科口腔外科との連携が中心となります。当院では患者様に治療を押しつけることなく、ご自身が納得して選べるよう選択肢と経過をご説明しています。


よくある質問


Q1. 顎関節症と歯並びは関係ありますか?


A. 関係する場合があります。噛み合わせの左右差や特定の歯への強い接触は、顎関節や咀嚼筋への負担の偏りにつながることがあります。ただしストレス、食いしばり、睡眠時の歯ぎしり、外傷など複数の要因が重なって起こると考えられており、歯並びだけが原因と断定はできません。


Q2. 歯並びが乱れていると噛み合わせも整っていないのでしょうか?


A. 見た目の歯並びと機能面の噛み合わせは別の観点です。歯並びに凹凸があっても上下の接触バランスが取れている方もいれば、整って見えても接触が偏っている方もいます。実際の接触状態は検査で確認する必要があります。


Q3. 歯列矯正を慎重に検討したほうがよいのはどんな場合ですか?


A. 顎に強い痛みが出ている急性期、歯周病が進行している状態、装置管理が難しい生活環境などでは、順序や時期の検討が必要です。まず炎症や痛みへの対応を優先し、状態が落ち着いてから矯正の可否を判断する流れが一般的です。


Q4. 片側ばかりで噛むと顔の左右差はどちら側に出やすいですか?


A. よく噛む側の咀嚼筋が発達し、その側が張って見える場合があります。反対側は筋の使用が少なく、輪郭の印象が変わることもあります。左右差が気になる方は、噛む側を意識的に交代させることから始めてみてください。


Q5. 顎の音だけで痛みがない場合、費用や期間の目安はどれくらいですか?


A. まずは検査とセルフケア指導が中心となり、保険が適用される範囲であれば自己負担額が数千円程度となる場合もあります。スプリントを用いる場合は数週間から数か月の経過観察を行います。矯正治療が選択肢になる場合は自由診療となるため、期間や費用の目安を含めて事前にご説明します。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth


田中 祐介

歯科医師


こはな歯科

院長

田中 祐介

▶ 監修者プロフィール

経歴
1980年7月11日
鹿児島県生まれ
1999年3月
鹿児島県立鶴丸高等学校 卒業
2000年4月
鹿児島大学歯学部 入学
2006年3月
鹿児島大学歯学部 卒業
2006年4月~
2007年3月
鹿児島大学歯学部附属病院 臨床研修
2007年4月~
三重県内の法人内医院 勤務
2012年~2014年
滋賀県内の法人内医院 勤務 副院長
2015年~2016年
滋賀県内の法人内医院 勤務 院長
2017年~2018年
京都府内の法人内医院 勤務 院長
資格・所属学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科医師会
三重県歯科医師会
津市歯科医師会