子どもの歯並びは、成長過程で変わっていくものですが、不正咬合(ふせいこうごう)と呼ばれる噛み合わせの問題が生じることがあります。不正咬合は、見た目だけでなく、食事や発音、さらには全身の健康に影響を与えることがあります。ここでは、子どもに多い不正咬合の種類をピックアップし、それぞれの症状や原因、防ぐためのアドバイスを紹介します。
目次
■子どもに多い不正咬合①上顎前突(じょうがくぜんとつ)
◎症状
上顎前突は、一般的に「出っ歯」と言われる状態です。上顎の前歯が下顎の前歯よりも前に突き出している状態を指します。子どもが口を閉じた時に、上顎の前歯が下顎の前歯を大きく覆うような見た目になります。
◎原因
遺伝的な要因が大きいですが、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、長期間の哺乳瓶使用なども原因となります。
◎防ぐためのアドバイス
指しゃぶりや舌で前歯を押す癖を早期に矯正することが大切です。また、哺乳瓶の使用期間を適切に管理し、早めにコップでの飲み物を習慣化させることが有用です。
■②下顎前突(かがくぜんとつ)
◎症状
下顎前突は、下顎の前歯が上顎の前歯よりも前に出ている状態です。一般的には「しゃくれ」とも呼ばれます。
◎原因
下顎の成長が過剰である場合や、上顎の成長が不十分である場合に生じます。遺伝的要因が強いですが、頬杖や顎を前に出す癖、不適切な口呼吸、舌の位置も影響を与えることがあります。
◎防ぐためのアドバイス
口呼吸を避け、正しい舌のポジションを保つことが重要です。また、定期的に歯科医師によるチェックを受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。
■③叢生(そうせい)
◎症状
叢生は、歯が重なり合って生える状態を指します。歯が十分なスペースを持たずに生えるため、歯が曲がったり、重なったりします。
◎原因
顎のサイズが小さいことや、むし歯などで乳歯を早く失うこと、遺伝的要因が影響します。また、指しゃぶりや長期間の哺乳瓶使用も関与することがあります。
◎防ぐためのアドバイス
適切なタイミングでの乳歯の脱落と永久歯の生え変わりをサポートすることが大切です。早期に歯科医師によるチェックを受け、必要に応じて矯正治療を開始することをおすすめします。
■④開咬(かいこう)
◎症状
開咬は、奥歯を噛み合わせた時に前歯がかみ合わず、上下の前歯の間に隙間ができる状態です。食べ物を噛み切るのが難しくなることがあります。
◎原因
長期間の指しゃぶりや舌癖、哺乳瓶使用が主な原因です。また、遺伝的要因や口呼吸も影響を与えることがあります。
◎防ぐためのアドバイス
指しゃぶりや舌癖を早期に矯正することが重要です。また、正しい口呼吸を習慣付けることも大切です。
■⑤交叉咬合(こうさこうごう)
◎症状
交叉咬合は、上顎の歯が下顎の歯と交差している状態です。片側だけでなく、両側にわたることもあります。
◎原因
上下の顎の成長不均衡や歯の位置異常が原因とされます。遺伝的要因が強いですが、同じ位置で頬杖をついたり、不適切な口呼吸、舌の位置も影響します。
◎防ぐためのアドバイス
早期に歯科医師によるチェックを受け、適切な治療を開始することが重要です。また、正しい口呼吸と舌のポジションを保つことが大切です。
【不正咬合を改善し、子どもの健康を守りましょう】
不正咬合は、見た目だけでなく、子どもの健康や生活に大きな影響を与えることがあります。早期に発見し、適切な対策を講じることで、子どもの健やかな成長をサポートすることができます。定期的な歯科検診を受け、歯科医師と相談しながら適切なケアを行いましょう。また、日常生活での悪い癖を早期に改善することも重要です。子どもの健康を守るために、ぜひ参考にしてみてください。